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高気密住宅に薪ストーブ
国も進める省エネ住宅において「気密」「断熱」は今後ますます高性能化して行くことは言うまでもありません。そうした中、薪ストーブを新築住宅に設置する際の重要課題がいくつか出てきます。今までのようなイメージだけで薪ストーブを選んではいけないのです。
少し昔の住宅は空気を積極的に取り入れる家作りだったので気密を気にすることなくほとんどの薪ストーブが問題なく設置できました。順調に燃やすこともできました。しかし今当たりまえの省エネ住宅においては今までの薪ストーブ設置では全く通用しないのです。
高気密住宅に薪ストーブを入れるには適切な機種選びが大事です。
高気密住宅は、気密性が高いために、カビの発生やシックハウス対策として24時間換気が義務付けられております。その際に空気のよどみをつくらない為、内外気圧差において「室内を負圧」にしております。(負圧とは、 排気の力を強く、給気の力を弱くした状態で室内の気圧が下がっている状態をいいます。)
その状態で、薪ストーブを何の対策もせずに使用してしまうと、煙突が吸気口になり、煙や有毒ガスが逆流する恐れがあります。
そのようにならないためには、「薪ストーブ本体機種の選定」と、「換気能力による給気口の配置」、さらには「必ず給気は専用の外気導入ダクト」でとらなくてはなりません。
①「本体機種選定」
薪ストーブ自身が気密を保てることが大事です。鋳物製などのように熱により本体に曲がりがでた場合に気密が保てなくなるストーブやセメント溶接なしのセメントだけで組み立てるようなストーブでは最悪一酸化炭素中毒となることもあるのです。ドイツではパッシブハウス(省エネ性、断熱性、気密性は世界トップレベル)などの高気密住宅で使用する際には、ドイツ建設技術研究の認証のDIBt認証薪ストーブしか使用することが出来ません。最近では安全のため、それほどの高気密住宅でなくてもDIBt認証機種を選ぶ方々が増えてきております。
②「換気計画」
薪ストーブ設置において、換気計画をたてる際には、24h換気システム以外の換気扇「レンジフード」や「浴槽」「トイレ」等の強力な排気能力を考慮して計画を立てなくてはなりません。薪ストーブ本体背面などに「※負圧対策用の開閉式給気口」などを設置し、レンジフードなどご使用になっても薪ストーブに影響しないようにします。
【ここで、注意!】
省エネ住宅では、薪ストーブ背面の“負圧対策給気口”を薪ストーブ燃焼用給気口として考えてはいけません。負圧の状態で背面に給気口が室内にあっても、室内空気は排気されてしまい、薪ストーブ燃焼用の空気が足りなくなり、不完全燃焼、さらには有毒ガスの逆流になってしまいます。
③「外気導入専用ダクト」
薪ストーブ設置にあたり、薪エネルギー燃焼には給気量が最も重要な設計計画です。
昨今のほとんどの住宅性能では室内空気に依存することは、もはや無理と言っても過言ではありません。しっかりと外気から燃焼用酸素を取り入れてください。
「火室に入る薪の量=十分に燃焼できる酸素量」のバランスを理解することが重要で、今までのような室内空気に頼る施工は、もはや昔の話であり、現在の住宅ではとても危険な考え方の一つです。古い考えや、情報に惑わされずに正しい施工を。
以上が、高気密住宅に薪ストーブを設置する際に、最低限知っていなければならない事となります。この中で出てきているDIBt認証とは、本体溶接部の接合範囲(溶接)や給気、排気、自動ロックシステムなど逆流するリスクを限りなく少なくする研究認証機関「ドイツ建設技術研究所」の略称です。
薪ストーブ本体機種の選択は、慎重に行ってください。